この11月26日衆議院での強行採決に抗議するとともに、参議院の審議に送付された「特定秘密保護法案」に、私たちは断固反対し、廃案とすることを求めます。
政府はこの法案を臨時国会会期末の12月6日までに成立させようとしていますが、国民の基本的人権の「知る権利」と平和主義の根幹に関わるこれほど重大な法案を、世論の議論も国会の議論もまったく尽くさぬままに、かくまで拙速に成立させようとすることに、強い憤りを禁じ得ません。
本法案が規定する「特定秘密」はその時々の政府によって国家の安全に脅威があると主張されれば、その範囲が恣意的に決定される危険性を持っています。本来、「特定秘密」については、周到な国民的審議を尽くして、その範囲と必要性が明確化されるべきであり、そうしてこそ国家安全保障も国民の監視の下で民主的に擁護されるのです。
国民の「知る権利」は、私たち大学人にとって「教育と研究の自由」と深く関係しており、この基本的「権利」と「自由」を国家安全保障の必要から恣意的に制限するこの法案の成立を断じて黙認することは出来ません。
私たちの愛知大学は、創立以来、とくに中国と友好関係を築きながら教育と研究を積み上げてきました。今回の法案が成立すれば、その教育と研究が大きな制約を受けるばかりでなく、本学の存在意義そのものも喪失しかねません。
本学は、戦前に海外にあった東亜同文書院大学等から敗戦にともなって引き揚げてきた教職員と学生によって設立されました。戦前への反省から、平和主義を理念の一つとして設立され、建学の精神そのものを、設立趣意書は「新日本の進むべき方向は旧来の軍国主義的、侵略主義的等の諸傾向を一擲し、社会的存在の全範域に亘って民主主義を実現し自らを文化、道義、平和の新国家として再建することに依り世界の一員として、世界文化と平和に貢献し得る如きものたらんとすることでなければならない」と謳っているのです。
私たちは、このような観点からも法案に断固反対します。
2013年12月5日 愛知大学教職員有志 (73 名)
この声明は、12月5日に各政党と首相官邸へのFAX送付し、12月7日に名古屋校舎と豊橋校舎の講師控え室に掲示しました。
今後、来年1月の通常国会に向けて、秘密保護法の廃棄を求める声明を出すことを検討しております。
この件についてのお問い合わせ先: 田川光照 (mtagawavega.aichi-u.ac.jp)